会計士が考える「高品質低価格」の影。長期的に繁栄すべきサービスなのか?

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こんにちは、現役会計士そらです!

皆さんは、「高品質低価格」という言葉が好きですか?

わざわざ百貨店や家具専門店のような高いお店でお買い物をしなくても、ロープライスで良いものが手に入る。

具体的なお店で言うと、ユニクロ様やニトリ様が該当しますが、その品質は「普通に生活するなら申し分ない品質」と呼べるものになっていると思います。

これは本当に素晴らしいことで、私もここに挙げた2つのお店でたくさんお買い物をしますし、日本人が日々生活するうえでなくてはならないインフラであるともいえます。

しかし、この「高品質低価格」というサービスが長期的に繁栄すべきものなのかというと、ちょっと疑問を感じてしまうことがあります。

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高品質を実現するために誰が犠牲になるか

私の場合、服が好きなので大学生の頃には自分で貯めたお金を持ってアパレル店を歩きまわっていましたが、百貨店には全く近寄りませんでした。

というのも、「セレクトショップでさえシャツが1万円するのに、百貨店でシャツを買うと3万円以上が普通になってくる。そんなの一部の金持ちしか買わないだろ。」という思いがあったからです。

言ってしまえば、高級ブランドを買う人に対して「生活するうえで全く必要がないことに、無駄にお金をかけている」という偏見を持っていたんです。

このようにケチ(というより価値観が貧相だった?)な私でしたが、公認会計士試験に合格してからは社会人として給料が安定的に発生し、「買えないこともない」という精神的な余裕を持って百貨店の歩き回ることが増えてきました。

そして自分の目で見て触れることにより、値段が高い商品は、その値段に恥じない洗練されたデザインと品質であることが理解できるようになってきました。

もちろん、「え、これで10万円?」という商品もありますが、それは私にとって10万円の価値がないと感じるだけの話ですので、その原価は値段に見合うくらい高額なのだと思います。

ここでちょっと話を変えて、私が考える「高品質」と言われえる条件を挙げてみますね。

①デザインが洗練されている
②耐久性がある
③実用性がある
④作りが丁寧

などなど…。

では、先に挙げたこの4つを実現するためにはどんな作業が必要になるのでしょうか。

①デザインが洗練されている

新たな商品を生み出す時、基本的には「取りあえず作ってみよう」で始まることはなく、デザイン案や設計図を作成しますよね。

そのデザイン担当は誰であっても良いのですが、世間的に「センスが良い」と認められるためのデザインを考えるとなると実績のあるデザイナーが候補となります。

そんな「センスが良い」商品を生み出せるデザイナーとなれば、様々な会社から案件相談がきますから、必然的に報酬金額が高くなっていきます。

企業としては、その高いデザイン料を支払って商品価格を設定しても売れると判断するから商品化する訳ですよね。

②耐久性がある

デザインと耐久性を両立するためには、ただ強くて頑丈な素材を用いれば良いわけではありません。

名だたる企業は世界中から素材の情報を集め、実際に手に取り、企画した商品に使用できるかどうかを判断します。

素材選びをする人の人件費、実際に世界各地に移動するための交通費、素材買い付けを行う原材料費…これだけを考えてもそのコストは高くつきますよね。

素材となる動植物を育成している方がいてこそ高品質な商品が完成する訳ですから、安く買い付けるなんて短期的な目線は持っていないはずです。

革新的な新素材の開発が成功すれば、その素材を用いた商品の価格が一気に下落することはありますが、そうでないのであれば、上記のコストを回収するための売価設定が必要になります。

③実用性がある

新しいモデルの商品を生み出す際に、それが本当に売れるのかということを考えなくてはなりません。

突き抜けて高額なファッションブランドだとそういう面はあまり考えないのかも知れませんが、基本的には売れてこそ、つまりお客様が求めてこその商品です。

そのため、試作品を何個か作ったうえでモニターやアンケート調査といった費用をかけて、市場に受け入れてもらえる商品なのかという検討を行います。

その過程のなかで企画倒れに終わるのであれば、そこまでに投資した金額はそのままロスになりますし、試作品からさらなる改良が求められるなんて日常茶飯事のことです。

④作りが丁寧

デザイン、素材が素晴らしくてもそれを商品にする製造者の作業が雑であったら台無しですよね。

日本の企業でもファブレス化(工場を持たないこと)が進んでいるとおり、製造は外注されることが多いです。

高級ブランドのなかには専属の職人を抱えているところもありますので、その場合は報酬が高くなります。

その職人を専属で雇うということは、支払われる報酬の額によって職人が生活できるかどうか分かれるわけですから、このコストを削減する訳にはいきませんよね。

高品質低価格を実現するためには①~④のどれかを犠牲にする必要がある

上記に書いたとおり、私がパッと思いつくものだけでも①~④のように原価が高くなる要因が存在します。

ここから販売価格を下げるのであれば、①~④のコストで発生する原価を低く抑える必要があり、結果としてその工程を担う方の報酬が適正水準から下落することを意味しますよね。

つまり、高品質低価格を実現するということは誰かの努力を安く買いたたく行為と捉えることができます。

模倣することで高品質低価格は可能

ではユニクロ様やニトリ様が悪者かというとそんな事はありません。

こういった大量生産、大量販売の企業は「すでに市場で成功している商品を模倣する」ことでその原価を低く抑えています。

すでに市場で成功しているのですから、そのデザイン・素材を代替した商品を低価格で製造すれば確実に売れることが分かっていますし、誰かを犠牲にする必要もありません。

しかしながら、あくまでも先駆者が成功を収めた商品を模倣する必要があるので、高品質低価格の商品が繁栄することで百貨店のような高級価格帯のお店が撤退するようなことになれば、結果として大量販売店も縮小することになります。

また、価格競争が激化することで、企業が稼得する利益が薄くなり、従業員の給料が低くなり、株主への配当金が圧縮され、結果として平均賃金が伸び悩むという原因にもなります。

そのため、高品質低価格ばかりが押し進められることなく、中長期的には提供するサービスに対して適正な報酬が支払われるようになると良いなと思っています。

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