監査法人の繁忙期は3つの山場がある!決算短信、会社法、金商法の違いについて。

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こんにちは、会計士そらです!

監査法人の繁忙期といえば一般的には期末の財務諸表監査のことを指しますが、実は監査を義務付ける根拠法令が2つあることをご存知でしょうか?

その2つというのは、会社法金融商品取引法なんですが、それぞれ異なる法律であることから、忙しくなる時期も違うんです!

また、正確に言うと期末監査による繁忙期には3つの山があるので、今回はその説明をしていきますね!

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1つ目の山場 決算短信

繁忙期1つ目の山場として、決算短信の公表があります。

決算短信というのは、簡単に言うと財務諸表を速報的に開示する書類で、投資家が投資意思決定を行うために参考する書類です。(有価証券報告書は期末日後から3ヶ月近く待たないと開示されないので、それを待ってたのではあまりに遅いというのが背景にあります。)

そんな決算短信ですが、証券取引所における自主規制として存立しているため、会社法や金融商品取引法のような根拠条文があるわけではありません。

それもあって監査法人による適正性保証が求められていないので、仮に誤りがあったとしても監査法人が責任を問われるものではないです。

しかしながら、日本取引所のホームページでは以下のように記載されています。

法定開示である有価証券報告書による開示に先立ち、その内容がまとまった時点で直ちに、市場、投資者に迅速に伝達するもの

この内容がまとまった時点というのは、監査法人の監査を受けて「もう数字が修正されることは基本的に想定されない」状態になった時のことを言いますので、実務的には決算短信も監査法人がチェックすることが多いんですよね。(決算短信はノーチェックと決めている監査法人もありますが。)

また、決算短信は期末日後45日以内に開示することが適当とされていますので、決算短信をチェックするのであれば、5月の第一週が終わるまでには個別財務諸表の科目と連結をあらかた検証し、必要があれば法人内の審査を終える必要があります。

これだけ聞いても結構ハードな話ですよね…。

なので、基本的にはこの決算短信発表まで(3月決算会社だと4月20日〜5月10日くらい)が1つ目の山場として考えられます。

2つ目の山場 会社法監査

2つ目の山場としては、会社法監査に基づく計算書類等への意見表明というものがあります。

いきなり難しそうな話になってしまいましたが、要は「今年の財務諸表数値について、これで問題ありません。」という意見表明をするまでの期間のことを指します。

会社法監査の場合、会社法第436条第2項第1号に基づいて監査報告書を発行することが義務付けられているので、決算短信とは異なり監査法人としても開示書類に責任を負う必要があります。

そのため、決算短信を発表する際にある程度検証を終えている段階であっても、最終的に問題ないという納得感を得るまでの詰め作業が結構あったりして、もう一踏ん張りが求められる時期といえるでしょう。

実際のところ、期末監査時はスタッフそれぞれが多数の監査調書を作成しなければならないため、すべての調書を終わらせるのって結構タフな作業なんですよね…。

そんなこんなで会社法監査として意見表明するまでが法的に拘束される繁忙期と言えますが、3月決算会社だと5月21日〜5月23日くらいに株主総会招集通知(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、注記表といった計算書類等を含む開示書類)の記載内容に誤りがないか監査法人内の審査が行われるイメージです。

世間的に4月中旬〜5月末までが繁忙期と言われるのはこれが理由だからなんですね!

3つ目の山場 金融商品取引法

3つ目の山場は、金融商品取引法監査に基づく財務諸表等への意見表明です!

これが若干混乱を与えてしまう原因なのですが、会社法監査は株主に対して開示する計算書類等に意見表明するのに対して、金融商品取引法監査は投資家全員に対して一般公開する財務諸表等に意見表明を行います。

なので、たまにどちらの話をしてるのか分からなくなると思いますが、5月は会社法、6月は金融商品取引法と覚えておけば基本問題ありません!

※計算書類と財務諸表と呼称は違いますが、キャッシュ・フロー計算書が含まれているかどうかくらいの違いしかないので、同じものと考えて大丈夫です。

ちなみに、こちらも金融商品取引法第193条の2第1項に基づく法定監査なので、開示書類に監査法人が責任を負うことになりますが、よほどの事がない限り会社法監査の時から財務諸表数値を変更しませんので、会社法監査までの慌ただしさに比べたら若干楽と言えますね。(時期は3月決算会社であれば6月上旬〜6月下旬。)

それでも「忙しい!」と監査法人勤務の人が言うのは、100P前後ある書類を最初から最後まで全部読みとおし、そこに記載されている数値をほぼ全て監査調書の金額と一致しているかチェックし、記載方法に誤りや漏れがないかを見ていく必要があるためです。

これが想像以上にシンドイ作業なので、現場によっては日付が変わるまでやらざるを得ないことも…。

なので、監査現場という意味ではこの3つ目の山場を乗り越えてやっと「繁忙期が終わった!」と言えるわけです!

5月最終週〜6月第1週は小休止期間

このように見ると、4月中旬〜6月末までは走りっぱなしかと思うかも知れませんが、5月最終週〜6月第1週は小休止期間と言えるので、ここで休みを取る人も多いです!

繁忙期中は休日出勤も珍しくないので、その代休消化にはもってこいの期間といえますからね。

監査法人に勤務している公認会計士は一般の事業会社で働く人とはちょっと異なる働き方をしているので理解できないことも多いかと思いますが、基本的に毎年同じようなスケジュールで動くので一度把握をすれば今後の予定も立てやすいです。

なのでこの記事を参考に少しでも監査業界のことを理解してくれる人が増えたら嬉しく思います!

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