クライアントからは見えにくい監査報酬の格差要因。何をもって「高過ぎる」と判断するか。

スポンサーリンク

こんにちは、調整役に徹している会計士そらです!

公認会計士の多くが監査法人に勤務していますが、その人たちの給料はどういった収入から支払われているかというと、財務諸表監査の監査報酬がほとんどです。

当然ながら監査報酬はクライアントと協議のうえ決定されるのですが、金額がどうしても大きくなってしまうため、報酬交渉の場はシビアな議論になることが少なくありません。

監査法人としては、十分な監査日程を確保するため、そして公認会計士に適切な給料を支払うために報酬を高く上げたい。

クライアントとしては、自社の収益増加に繋がらない費用は低く抑えたい。

そもそもお互いの利害が対立しているので、議論が紛糾するのも当然の話ですよね。

スポンサーリンク




報酬交渉で揉める原因

ただ、私自身が何回か報酬交渉の場に参加して感じたのは、クライアントとしても報酬を払いたくないという訳ではないということでした。

上場企業ともなれば規模を問わず財務諸表監査を受けなければならないことは分かってますし、上場によるメリットを享受するための代償として認識してくれていることがほとんどです。

ではどういった時に強く反発されるかというと、「自分の会社のビジネス内容や規模を考えた時に、この報酬は高過ぎじゃないか?」という印象を持たれた時であることが分かってきました。

要は、「監査法人がぼったくりしている」と感じた時です。

監査法人側としてはそんなつもりじゃないんですが、監査役も他社の報酬金額等は調べていたりしますので、自分が知っている他社と比べて監査報酬が高いと感じたら反発するのは当たり前。

「連結グループとしての規模も、ビジネス内容も似通っているのに、なんで報酬がこんなに違うの?」

こういった疑問はどうしても出てきてしまうので、真摯に監査法人が説明責任を果たしたうえで、お互いの妥結点を模索するというのが監査報酬の交渉現場で起きていることですね。

開示情報だけでは見えてこない格差要因

あくまで私が経験した一つのケースではありますが、ビジネス内容や規模が近似している競合他社の監査報酬推移を表にまとめて、その格差をクライアントから明示されたことがあります。

対象会社さえ絞ってしまえば、有価証券報告書に記載されている監査報酬金額を数年分遡ることで簡単に作成できますからね。

ただ、個人的には会社のビジネス内容や規模と同じくらい大事な要因があると思っています。

それは、経理部や内部監査室といった、実際に監査対応を行う部署に所属する個々のスキルです。

極端な話ですが、悩ましい会計処理に出くわした時に、監査法人と同じ感覚で判断を下せるCFOが会社内部にいたらわざわざ監査法人に質問なんてしないですよね。

これに対して、経理部に所属する方のスキルが高くない場合、質問を監査法人に丸投げすることになってしまう。

私たちとしては、相談を受けた分だけそのクライアントの業務に従事することになりますから、その分を監査報酬として請求します。

実際に実務に携わってみると、同じ上場企業であっても、質問が毎日のように飛んでくる会社もあれば、月に数回確認のメールが飛んでくるだけの会社もあることが分かります。

そして、こういった情報は有価証券報告書には明示されません。

「監査法人に質問をするな!」なんて事は言いませんが、私たちもボランティアで仕事をしている訳ではないので、こればっかりは理解して頂きたいところですね…。

長期的視点で解決しなければお金の払い先が変わるだけ

今回紹介したようなケースですと、監査報酬を安く抑えるための分かりやすい特効薬として監査法人に全く質問をしないことが考えられます。

しかしながら、それまで監査法人に頼りきっていた会社がいきなり独り立ちすることは無理なので、結果として四半期レビュー・期末監査の度に指摘事項が山積みになり、クライアントに起因する監査工数増大として実費請求される可能性が高くなります。

そうならないように優秀なCFOを引っ張ってきたり、コンサルと契約したりすれば監査報酬は下がりますが、下がった報酬と同じくらい(もしくはそれ以上に)他の費用が増えるだけです。

なので、監査報酬を現実的に減らしていくためには短期的な特効薬を求めるのではなく、長期的な視点として経理部職員や内部監査室のスキル底上げを図ることなどが求められるんだろうなと強く思います。

スポンサーリンク