監査法人一年目の必須科目!法定福利費ってナンダ?

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こんにちは、一年目の頃に人件費に触れる機会がなかった会計士そらです!

今は論文式試験の合格発表前なので、「どこの監査法人に行こうかなー」と期待に胸を膨らませている頃ではないでしょうか。

この夢を壊すつもりは全くないんですが、正直に言うと監査法人に入所して数ヶ月はどの監査法人でも同じような業務に触れることになると思います。

例として挙げるのであれば、最初は現預金・借入金を任されて、その次の現場ではあまり動きがない固定資産を任されて…といった感じです。

誰かが決めた訳ではないのですが、暗黙の了解として「一年目はこの科目かな!」みたいなものがあるんですね。

今回紹介する人件費もその一つ。

人件費ってわかりやすく言うとお給料なんですが、最初の頃は意外と苦労する科目だったり…。

その原因は、社会保険料が含まれる法定福利費なんですが、公認会計士試験の受験勉強で特に習わないので、その内容を知らない人が意外と多い。

ということで今回は、監査法人の実務で人件費分析に携わると必ず必要になる、法定福利費の基礎知識を簡単に紹介しようと思います!

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そもそも法定福利費って何?

「法定福利費って聞いたことはあるけど、そもそも内容がわかりません!」

こういう人も少なくないのでは。恥ずかしながら私も実務で触れるまで全く知らなかったです…。

簡単な内容を示すと以下のようになります。

この図を見て分かるとおり、社会保険と労働保険に区分される保険があって、それらを総称したものが法定福利費と呼ばれます。

株式会社にはこれらの保険に加入する義務があるので、監査法人の仕事で携わる会社においては必ず法定福利費が計上されているはず。

会社はこれらの保険料を払う必要があるのですが、その全てを負担する必要はありません。

従業員と折半して払うものがほとんどなので、おおむね保険料総額の半分が会社負担分と認識しておけば大丈夫です!

ちなみに会計上は以下のように扱われます。

従業員負担分は預り金として流動負債に計上

会社負担分は法定福利費として費用計上

この前提を踏まえて、それぞれの保険について簡単に説明していきますね!

健康保険

健康保険というのは、従業員もしくはその家族が病気・怪我になった場合に、その治療費の負担を主な目的とする保険です。

私たちが病院に行った時、診察券と一緒に保険証(3割負担にしてくれるアレ)を提示するかと思うのですが、その保険証は健康保険に加入していることでもらえるものです。

その健康保険ですが、以下の計算式によって計算されます。

健康保険料=標準報酬月額(および標準賞与額)×保険料率
⇒会社の負担分は健康保険料の50%

標準報酬月額というのは、原則として4月~6月の3か月間における報酬額(基本給のほか、残業代を含む各種手当の合計)を平均したものです。

この標準報酬月額はその年の9月1日~翌年の8月31日まで固定されます。

また、標準賞与額というのは、支給される賞与金額から千円未満を切り捨てた金額のことをいいます。

そして、保険料率は県や加入している健康保険協会によって異なるのですが、全国健康保険協会のホームページを参照すると、東京の会社で介護保険未加入者(40歳未満の人)は9.9%となります。

上記の例でいうと、会社負担は標準報酬月額×4.95%(9.9%/2)ということになりますね。

なお、会社は当月給与支払時に前月分の保険料を徴収し、その月の末日までに納付する必要があることも覚えておいた方が良いかも知れません。

介護保険

介護保険というのは、高齢者のうち、要介護者と認定された人を支援することを主な目的とする保険です。

これは基本的に65歳以上の人しかサービスを受けられないのですが、一例として介護保険に加入している場合で要介護認定を受けた人は、ケアマネという専門家が作成するケアプランに基づいたサービスを1割負担で受けることができます。

老人ホームで提供してもらうサービスが1割負担
になるようなイメージですね。

この介護保険なんですが、保険料の算定は健康保険と変わりません。

介護保険料=標準報酬月額(および標準賞与額)×保険料率
⇒会社の負担分は介護保険料の50%

なので、先ほど例示した全国健康保険協会のホームページを見てみても分かるとおり、介護保険加入者は健康保険料が11.47%と1.57%高くなってますよね。(介護保険第2号被保険者というのは、40歳~64歳の人のこと。)

つまり、健康保険に介護保険を上乗せして保険料総額を支払うことになります。

厚生年金保険

厚生年金保険は、労働者や定年した場合、怪我を負った場合、死亡した場合等に労働者とその家族の生活が安定するようお金を給付することを主な目的とする保険です。

国民年金は20歳~60歳に加入が義務づけられていますが、厚生年金保険は国民年金にさらに上乗せして積み立てておくもの。(2階建てとか言われるのがコレです。)

そして厚生年金保険は、原則として70歳未満の正社員は加入が義務付けられています。

この厚生年金保険ですが、これも健康保険、介護保険と同じ計算式で算定されます。

厚生年金保険料=標準報酬月額(および標準賞与額)×保険料率
⇒会社の負担分は厚生年金保険料の50%

例によって、全国健康保険協会のホームページを見てみると、健康保険・介護保険とは別枠で厚生年金保険の保険料率が記載されているかと思います。

この保険料率は18.300%と書いてありますが、注書きのとおり厚生年金基金に加入している場合にはその免除保険料率を控除することには留意が必要です。

なお、厚生年金保険料の支払いは会社は当月給与支払時に前月分の保険料を徴収し、その月の末日までに納付ということで、これも健康保険・介護保険と同じですね。

労災保険

労災保険は、通勤中や業務中に労働者の身に災害があった場合にお金を払ったり、遺族のサポートをすることを主な目的とする保険です。

通勤中に階段から落ちたり、機械に巻き込まれて怪我をした場合等にお金をもらえる保険ですね。

労災保険のポイントは、労働者全員が対象となるので、アルバイトや季節労働者、取締役なども加入することになります。

この労災保険ですが、以下の計算式によって算出されます。

労災保険料=賃金総額×保険料率

ここで何より大きいのが、全額会社負担ということです!

なので私の給与明細に労災保険は記載されていません。

賃金総額というのは基本給のほか、各種手当を含んだ給与支給総額と考えて基本的に問題ありません。退職金や慶弔金は賃金ではないので含まれません。

役員報酬は賃金総額に含まれませんが、取締役であっても従業員兼務役員のような場合であれば、従業員としての賃金部分は労災保険料の対象となるということですね。

労災保険料の保険料率は、厚生労働省の労災保険に関するページを見れば分かりますが、危ない業種ほど料率が高いと思ってもらえれば大丈夫です。

労災保険は冒頭で記載したとおり雇用保険と合わせて労働保険と呼ばれていますが、これらは合わせて保険料の支払いが行われます。

そしてこの労働保険の支払いがちょっと厄介でして…。

労働保険は保険年度の初日(4/1)から50日以内(5/20まで)に一年分の概算保険料を支払う必要があります。

もちろん概算保険料と実際の確定額には差額が生じるので、また翌年の4/1~5/20の期間中に前年分の差額の精算および当一年分の概算保険料の支払いを行うことになります。

これを労働保険の年度更新なんていうんですが、単純な話が毎年一回精算すると同時に、概算で一年分払うってことですね。

雇用保険

雇用保険は、労働者が失業したり、働き続けることが困難な場合にお金を払うことを主な目的とする保険です。

失業した時にお金をくれるので失業保険なんて言われることもありますが、その他に育児休業給付や介護休業給付なんてものもあります。

雇用保険の対象は、原則として雇用されている労働者全員です。雇用なので、従業員兼務役員ではない取締役などは対象外ですね。

この雇用保険は労災保険と同じ計算式で保険料を計算します。

雇用保険料=賃金総額×保険料率
⇒会社の負担分は66%程度

同じ労働保険ではありますが、雇用保険は一部会社負担です。

そしてこの会社負担分を66%程度と書いたのは、厚生労働省の雇用保険に関するぺージを見てもらえれば分かるとおり、業種によって異なるからです。

労災保険ほど細かく分かれてはいませんが、会社によって違うんだなというのは認識しておきましょう。

保険料の支払方法は労災保険で紹介したとおりです。

基礎知識として持っておこう!

法定福利費として計上される保険料の中身を簡単に紹介してきましたが、いかがでしょうか。

監査法人の実務につくと、上司から「前期調書を参考にしてやっといてー」と任せられることが多い人件費ですが、詳しく教えてもらう機会ってあまりないように思います。

監査調書も、法定福利費率をザックリ計算して14%~15%のレンジに収まってればOKといったつくりがほとんどなので、異常がない限り深く調べることってないんですよね。

しかし、仮に異常な法定福利費率が算出された場合に、何が原因となり得るのかというアタリをつけるうえで今回紹介した基礎知識がないとドツボにハマります。

また、中身を分かっていないと増減コメントも書きづらいですよね。

実際に私はこういった経験をしてきたので、この記事が少しでも新しく監査法人に入ってくる会計士の参考になれば幸いです。

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