経営者を縛る損益計算書。財務諸表監査も助長している!?

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こんにちは、会計士そらです!

今回は経営者を縛る損益計算書と、それに拍車をかけている財務諸表監査のお話をしていきます!

ファイナンスや経営学の本を読んでいると、長期的な視点で投資判断や会社経営をすることの大切さが記載されていますよね。

極端な事を言ってしまえば、最初の数年間は赤字となるような事業であっても最終的に利益の大幅成長を見込めるのであれば積極的に投資をすべきという考え方です。

これは特別な本を読まなくても、みなさん感覚的に分かる話かと思います。

しかしながら、自分が投資する立場の人間になってみると、利益はすぐにでも欲しいものですし、アッサリ損切りなんてなかなかできませんよね。

これは実際の会社経営でも同じことです。

それまで順調に営んでいた事業の業績が赤字に転落したり、立ち上げた事業で想像以上に赤字を垂れ流すような自体になった場合に、教科書通りに合理的な対応を取れるかといえばそんな簡単な話じゃありません。

ましてや減損損失を計上するなんて話になれば、会社と監査法人の間で議論がヒートアップすることも少なくないです。

減損損失を計上したところでキャッシュの支払いが発生するわけではないので、会社の存続自体に影響を与えるものではありません。

しかしながら、PLにマイナス影響を与えることは経営者にとって望ましいものでないこともまた事実です。

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減損損失は投資失敗の烙印!?

PLへのマイナス影響として経営者が最も嫌がるのは、固定資産の減損損失や株式の評価減でしょう。

これらを計上するということは、その事業や投資先から今後十分な利益を得る見込みがないということなので、見方によっては投資失敗の烙印を押されていることと同義といえます。

この前提がある以上、いくらキャッシュの支払いが発生しないと言っても、軽く受け止めることは難しいですよね。

実際に、「減損損失なんて恥ずかしくて計上できるか!」と激昂してしまう経営者もいるほどです。

ただ、会社が策定できる予算期間以降も会社は継続していくことを前提としているので、本質的にはそれ以降の期間も含めて成長や投資回収が見込めるのであれば経営判断として正しいはず。

なので、こういった会計上の論点に左右されることなく経営判断を行うべきなのですが、どうしても印象が良くない話ですよね。

予算達成や増収増益が指標になっている

また、日経を読んでいても分かると思うのですが、基本的に企業の業績は予算達成もしくは増収増益を達成することが良しとされています。

もちろん予算上の想定と同じように実績を残せることや、利益を拡大できること自体は素晴らしいことです。

その一方で、長期的な企業活動を考えた際には、数年後に向けた種蒔き期間として広告宣伝費や研究開発費に注力した投資を行う時期があっても良いハズですよね。

むしろ翌年以降に売上拡大を見込んでいるにも関わらず、そういった投資を控えるような動きがあるのであれば、本当に実現できるのか疑わしい話です。

それでも投資家から「業績が前年比○○%」という視点で会社の経営成績を判定されてしまうのであれば、売上が芳しくない時に投資を控えてしまう気持ちも分かります。

長期的な目線で会社を経営することの大事さを認識していても、こういった指標は経営者を縛る鎖になってしまいますよね。

財務諸表監査も助長している!?

監査法人に所属して財務諸表監査に携わっている私がこれを言うのも微妙な話なんですが、財務諸表監査という仕事が短期的な利益主義を助長している側面はあると思っています。

財務諸表監査においては当期〜過去数期の財務諸表数値を並べて増減比較を行ったり、趨勢分析を行います。

これに加え、その会社の売上・利益規模に応じたフィルター(重要性という概念)を設けて、監査手続の実施対象とする取引を決定します。

つまり、その会社の財務諸表数値が過去から大きく増減しておらず、利益も十分に計上している会社であれば監査手続が自然と効率化されることになります。(それで大丈夫なの?という前提の問いかけはありますが。)

逆に過去と比較して大きな増減があれば「なんで当期増えたの(減ったの)?」ということを根掘り葉掘り聞きますし、赤字になろうものなら嫌というほど減損の話をすることになります。

また、新規大型投資を実施した場合には、その投資回収可能性を毎年監視(モニタリング)されることになります。

具体的に言うと「利益出てませんよね?本当に回収できます?」って話をされたりします…。

これだけ見ると、「監査法人がうるさく言ってくるから利益出せ!」なんて話が社内で出ても何ら不思議なことはないですよね。

もちろんこれは財務諸表監査の一側面でしかないのですが、そう思われても仕方ない監査手続は実際のところ結構ありますので、監査法人側としても会社の経営活動に歯止めをかけないよう強く留意する必要があると感じています。

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